君の瞳に映りたくて。
それから私たちは普段通り練習を行い、私は自己ベスト11.3を叩き出した。
「…やっぱ、代表としてやっていけるよなぁ、このタイムなら。」
「先生、自己ベスト出したんだからもっと喜んでよ。」
「こんな速いからこそ悔しいんだろ!」
「はいはい、わかったから。
今日はもう終わりでしょ?帰るよ?」
「ちゃんと前向きに検討しろよ!」
「私に言われてもね。
じゃ、お疲れさまでーす」
私は一人うるさい先生のもとを離れて部室へ入り、着替えを済ませた。
「ねぇ、美乃里。
今日ってこのあと暇?」
「え?うん。まぁ時間あるよ。」
「じゃあさ、今から家に来ない?」
「舞桜んち?いいけど…舞桜んちなんて珍しいね。」
「ちょっと手伝ってもらいたいことあって。
じゃあいこ。」
私は美乃里を連れて、サッカー部へと向かった。
和泉と祥也は決まって部室前のベンチでお弁当を食べてるから。
「やっほー。お疲れさま。
ねぇ、二人とも部活終わったら家に来てよ。」
「俺も?」
「そ、祥也も。
何時に終わる?」
「15時にはたぶん行ける。」
「わかった。
じゃあちゃんと来てね?」
それだけ伝えて、私は美乃里と学校を出た。