君の瞳に映りたくて。



「おかえりなさい。」


「…ただいま。」


杉山さんがすぐに出迎えてくれて、私は涙を拭いた。


「旦那様と奥さまがお帰りですよ。」


「え、お父さんも?」


なんで?という疑問から、私はすぐにリビングへ向かった。


「あ、舞桜!おかえり~!」


「ただいま。
なんでお父さんまで?お母さんだけじゃなかった?」


「まぁ年末で時間ができたから、久しぶりにこの家で寝ようと思ってな。」


「え、それだけ?」


「それだけじゃダメなのか?」


「いや、別にいいけどさ。
荷物多いからむしろ助かるや。」


「明日は20時の飛行機だったよな。
席取り直して三連にしたから一緒に帰ろうな。
17時にはここを出よう。」


「………うん。
でもその前に友達と遊んでくるから。」


「遅れないようにな。」


「うん。
……じゃあ、私は部屋にいきます。」


私はリビングを出て、部屋へと入った。

春翔にもらった写真を写真立てへ入れて、私はしばらくそれを眺めていた。


なにも考えずに走っていた頃が懐かしくて、ここで走っていられることが本当に好きなんだと改めて知った。

私がこんなに走ることが好きなのは、ずっと春翔と走ってきたから。
一緒に夢を追いかけてきたから。


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