君の瞳に映りたくて。
「おっはー」
なんとかギリギリ間に合って、俺はとりあえず榑林に挨拶した。
31日のあの日から、会話がなかったから。
「おはよ。頭は冷えた?」
「あぁ、もうすっかり。
あの時はごめんな」
「別にいいよ。
私のことじゃないから私が謝ってほしいわけじゃないし。」
榑林は舞桜の席を見つめて、また暗い顔をした。
「はぁー…」
俺はとりあえず舞桜の席に座ってみた。
修学旅行の時の席替えから変わっていない。
俺の席のとなりはまだ舞桜の席。
ここはもう空いたままなのか…
「席つけよー」
そこに金城ちゃんがきた。
だけど俺は顔をあげるほど元気はない。
舞桜がいないっていう現実から逃げたい。
この学校に入学してから毎日舞桜を見てたのに…
「和泉、席間違えてるぞー」
「………先生、舞桜は?」
「なんだ、聞いてないのか?
宮下がアメリカいったって」
………やっぱりそうなのか…
嘘だったらいいのにって思「すみません、遅れましたー!」
………え?
「いや、まさかこんな早く来るとは思わなかったよ。」
「飛行機が予定より遅く到着したんだよー。
遅刻なしにしてくれるよね?」
「まぁ今回は特別にな。
事情も事情だし。」
「やったね!ありがと!」
「席つけ。」
「はーい。」
………なんで、いるんだ?
「…そこ私の席なんだけど」
「………なんで…」
「聞いてる?
そこ、私の席だって」
「和泉、宮下に席を譲れよー」
なんで舞桜がここに…?