君の瞳に映りたくて。



「ところで、舞桜と春翔くんはあの時別れたんじゃなかったのか?」


おじさんは、すかさずあのときのことを掘り返してきた。


「別れてません。
あんな一方的なの、認めませんから。
破局は二人の同意のもとでのものです。
それに、舞桜もわかってくれましたから。」


だから俺も、間髪開けずに答えた。
俺は別れる気なんて全くなかったんだから。


「舞桜のこと、本当に好きでいてくれてるんだな。」


「はい、昔も今も俺は舞桜だけですね!」


「春翔くんから見て、舞桜の魅力ってどこだと思ってる?」


「何事も一生懸命で、人のことを思いやれる優しい人だと。
人にやさしく、自分に厳しく、そんな人です。

……舞桜は、いつも速く走るために必死で、俺はそんな様子をずっと見てきました。
頑張ってる舞桜を見て、俺も頑張ろうっていつも思ってたんです。

子供のころ、舞桜は覚えてないかもしれませんが、舞桜はお父さんのことが大好きと言っていました。
夢追いかけて努力するお父さんがかっこいいって。
俺もその気持ち、すごくわかるんです。
夢追いかけて努力する舞桜に、すごく惹かれています。」


舞桜を目の前にして、舞桜の親を目の前にして、俺はすごく恥ずかしくなったけど、隠さず素直に答えた。

その方が、きっと好感度も上がるだろう。



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