君の瞳に映りたくて。



「……だけど、それで舞桜と別れろと言われても別れることもできません。
俺には舞桜が必要ですから。
どんだけカッコ悪い試合だったとしても、きっと舞桜は一緒に悔しがってくれる。
弱い人間かもしれないけど、一緒に頑張ってくれて、一緒に悔しがってくれる舞桜がいるだけで俺は頑張れるんで。



「私も…春翔がいるとね、いつもよりタイムが伸びるの。
春翔と走ってるのが今でも楽しいの。」


俺が言った言葉に、舞桜も続いた。

俺らはお互い、結局相手のことなんて思ってないと思う。
自分のため、自分の幸せのために一緒にいる。
だけど、そんな関係もいいもんだよな。

自分が幸せじゃないのに、他人を幸せにすることなんてできないんだから。


「いいじゃない、お父さん。
舞桜が幸せなら、それで。」


「百合子は昔から春翔くんに甘すぎじゃないか?」


「だって春翔くん、昔のあなたにそっくりだもの。
でっかすぎる夢抱えてて、それに向かって走ってく。
昔のあなたを見てるみたいで…

ねぇ?

あなたも自分の夢を私に押し付けて、私と結婚したんでしょう?
なら、自分の夢を舞桜にぶつけるのはもうやめなさい。

今にあなたは私の父にそっくりだわ。
そんな父に、あなたもなりたいの?」


「……わかったよ。」


……いや、あの話が読めないんだけど…俺だけ?


「交際を認める。」


「え?」


いや、今まで認められてなかったの?
それにすらビックリなんだけど。


「……ほんとに?いいの?」


「あぁ。
春翔くんの信念はちゃんと伝わってきたから。

……父さんは本当はリアンみたいな…」


「ほら、お父さんはすぐ家柄で決める。
そういうところが私の父と似てるって言ってるんでしょ?」


「あのー…いってる意味がよくわからないんですけど…」


俺だけちんぷんかんぷんだよ。



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