君の瞳に映りたくて。



「あれ、そっち?」


「うん、今日はこっち。」


舞桜は河川敷の方ではなく、反対に、しかも歩きで向かった。


「はい、早く開けて。」


「え?」


ついたのは俺んちの前。


「今誰もいないでしょ?」


「…おう、わかった!!」


なんだ、二人になりたかっただけなのか!
可愛いとこあるじゃん!
いや、いつも可愛いけどさ!


「はい!開けた!」


「はは、なにそれ。
お邪魔します。」


舞桜は、入って迷うことなくリビングのドアを開けた。


「あー、なんかわかる。懐かしいかも。
ここなら私も何となく覚えてる。」


「え?なにが?」


「お母さんに、リビングでよく一緒に遊んでたって聞いたから、来てみたくて。
いつも春翔の部屋だったから。」


「あー、なるほど。」


……って、それだけ?
え、俺とのいちゃラブタイムじゃないの?


「わ、ちょ春翔…」


「やっと二人っきりじゃーん」


俺は、なんにもこっちに来てくれない舞桜に抱きついた。
せっかく二人きりになれたんだし。


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