君の瞳に映りたくて。



タクシーで15分、大きな市民病院へと到着した。


「こっち。」


私は長い脚でスタスタと歩く香坂の後ろをちょこちょことついていった。
走るのは速いんだけど歩くのは遅いんだよね、私。
やっぱ足が短いのが悪いのかな。


「3B病棟の312号室だから。」


そう言いながらノックして入る病室。
ここに和泉が……


「舞桜?入んないの?」


「……入るよ。」


小さな声で和泉に答えて、私も病室に入った。

中には心拍数をはかる機械があって、
ベッドの上には酸素チューブをつけられた…和泉。


顔にはキズが一切ない。
だけど頭には包帯が巻かれていて、腕には点滴。
手の甲や腕には打撲痣と、多数のかすり傷。


「……俺が最初にいたところだ。」


和泉は天井の方から自分を見下ろしていた。
私は香坂に見られないように、小さく和泉を呼んだ。


「自分の体にダイブしてみたら戻れない?」


「あぁ、そうだね。
やってみる!」


和泉はそういって上から自分の体に頭から入ってった。


……どうでしょう?
とりあえずベッドの下に行ってないかな?とベッドの下を覗いてみると和泉の姿はない。


これはもしかしてうまくいったか!?


「……お前、なにしてんの?」


「あ、いえ、別に。」


またも香坂に変な目で見られたから立ち上がろうとしたら


「ダメだった~。」


突然床から頭を出した和泉に


「きゃあぁぁ!!」


思いっきりびっくりしてしまった。



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