君の瞳に映りたくて。



そのあと舞桜が祥也に笑顔で話しかけてるのが見えて、俺はイライラしてさっさと教室へ向かった。

朝練なんかやってられるか。

……あれ、スマホない。
あれー?家に忘れたか…部室か?


あー、くそ最悪。


「和泉先輩!」


取りに行くかと教室を出ると、昨日俺に告白してきた子がスマホ片手に俺に向かって走ってきた。


「これ、和泉先輩のじゃ…!」


あ、そうか。
そういえば俺、スマホカバーにデカデカと舞桜とのプリクラ貼ってあったな。


「あー、そうだ。ありがとう。」


走ってくる女の子に、俺も近づいた。


「…きゃっ!」


その時、女の子が廊下でつまずき、転びそうになったから


「あぶね!」


俺は女の子の下敷きになって守った、のはいいんだけど…


「…っ!」


「ご、ごご、ごめんなさい!!!」


勢い余って、というか衝撃で、というか…
俺と女の子の唇が触れてしまい、その状況を理解するのにお互い時間がかかり、制止してしまっていた。


「俺こそ…ごめんな。
スマホありがとう。それじゃ」


今の…事故、だよな。
キスのうちに入ったりしねーよな。

うん、事故だ事故。



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