君の瞳に映りたくて。



リアンの後ろ姿を見送った後、私はお花屋さんで小さな小さな花束を買った。

そして私が向かったのは、事件のあった、あのスーパー。
将生が殺された、あのスーパーへ向かった。

近づく度に足がすくむ…
だけど、逃げてばかりはいられない。
そう決めてた私は一歩を踏み出した。


あの日から、近づくこともできなかったあのスーパーの前に、私は一人でここまで来れた。
また一歩、前進した気がした。


そして私は店長さんに許可をもらい、店内で花瓶を買い、小さな花束を生けてお店の前の隅に起き、手を合わせた。

とても日本式だけど、手を合わせて拝んだ。


"お姉ちゃん、強くなったよ"


将生にそれだけ伝わればいいと思った。

将生は死んだりしない。
私の中に生き続けるから。


"だいすき。"


そして私は少し微笑んで、その場を後にした。

きっと、将生は大丈夫。
またどこかで命をいただけるその時に備えてるはずだから。



私はそのまま、自宅へと戻った。



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