君の瞳に映りたくて。



そしてその夜、私が起きたときにはお父さんもリビングにいた。


「あ、起きたか。」


「うん。
お父さん早いね。」


「俺はすぐ寝ちゃったからな~。
それより、あのスーパーにはもう行ってきたんだって?」


「うん。
逃げてばかりじゃダメだって思ったから。」


「……強くなったな。」


「私ね、ずっと
幽霊でもいいから将生に会いたいって思ってた。
だけどそれ違うんだなって思うようになったの。
春翔とまた仲良くなって、そう思うようになった。
将生は幽霊のままいたら寂しいまんまなんだって。
だから…ちゃんと将生に心配かけないように、向き合わなきゃだめなんだって。
将生がまたちゃんと生まれてくるためにもね。」


幽体になった春翔が私のところに来たのは、私にそれを気づかせてくれるためだったのかもしれない。

死んだ人はもう戻ってこない
前に進めって……

誰にも気づいてもらえない、会話することもできないことはとても寂しいことなんだって。


「…全部、春翔のおかげなんだ。」



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