君の瞳に映りたくて。
「春翔も知ってたんなら俺らに教えといてほしいよなー。
一人占めしやがってー」
「関係ない。春翔はそんなこと気にしない。
気にしてないから言わなかっただけ。
あなたたちと春翔を一緒にしないで。」
「は?」
「お金なんて、なんの価値もないのに。
そんなのに執着するなんて、レベルが低いよ。」
「……ちょっと金持ちだからって調子乗りすぎじゃね?」
「まぁまぁ。
お嬢様ってわがままなもんじゃん?」
……なにそれ。
「それよりさぁ、宮下さん?
俺今お金ないんだよね。
なんの価値もないと思ってんなら持ってても無駄でしょ?
俺にもわけてくんない?」
「バカじゃないの?
私が持ってるお金は私のお金じゃない。
私の親のお金なだけ。
ほしいならアメリカまで行って、うちの親にせがんでみたら?
アメリカまで行くお金があるならお金が足りないとか言わないと思うけど。」
「は?なんなのお前。
俺のことバカにしてんの?」
「してる。」
「かっちーん。
俺今まじでこいつのことイラついた。」
「そうですか。
もう話終わったでしょ?席ついたら?」
「財布出せよ。」
「……は?」
「出さねーんなら勝手にとるわ。」
そういって、目の前の男は私の鞄を手に取った。
「ちょっと!やめなさいよ!」
「いいよ、美乃里。
……はい、お財布。」
「舞桜!なにしてんの!?」
「はっ、お嬢様のくせに安っぽい財布だな。」
「安いんだから当たり前。」
そんな安いお財布を、この男は躊躇なしに開けた。