君の瞳に映りたくて。
「春翔、そんなことしたら部活できなくなっちゃうよ…
試合もさせてもらえなくなる。
せっかく頑張ってきたのに、こんなことで無くさないで。」
「……悪い。」
私の言葉が春翔に届いたのか、春翔は両手をおろした。
「どうしたー?」
そこに、ちょうど先生が来た。
「なんでもないでーす。
ほら、春翔。座りなよ。」
「あぁ。」
先生が来てくれたから、無駄に静かなままだけどみんな席へついて、なんとかその場がおさまった。
「えーと、今日のHRはいいお知らせからだ。
うちのクラスの宮下が正式に、世界陸上選手権の強化選手に選ばれて、今月末から2週間の合宿に参加できることが決まった。」
……このタイミングでそれか。
「へー、宮下さんすごいじゃん。」
「もしかしてそれも金とコネだったりしてなー」
なんて、さっきのギャルとヤンキー男がまた口出しをしてきた。
「関口、そんなわけないだろ?
宮下は関口より足が速いんだからな?」
「え、先生それはさすがに俺をなめてるでしょ!
俺本気出すと結構速いんだから!」
「へー、じゃあ今日の3,000m、結果楽しみにしとくな。
男女合同で行うらしいから。」
「ま、俺は負けないけどねー。
温室育ちのお嬢様だけには、絶対。」