君の瞳に映りたくて。
それからは、美乃里だけじゃなくて春翔も祥也も常に一緒にいてくれた。
朝のことがあったからだと思うけど、本当にみんな気を使ってくれている。
そんなことしなくても、私は余裕なんだけどね。
アメリカにいた頃はずーっと…だったもん。
そして、やっと待ちに待った…
「やっと体育だー!走れるー!」
6時間目、体育。
今日一日走りたくて走りたくてうずうずしてたから、やっと。
「気合い入れて走らないと!」
「部活もあるんだから気合い入れすぎないように。」
「はーい!」
それでもやっぱり走れる時間が嬉しくて、私にとっては楽園の時間だ。
「あー、もうやだなぁ…」
そんな私とは真逆な栞。
栞は体育が苦手で、マラソン大会なんてなくなればいいのにと最近毎日嘆いている。
「舞桜はなんでそんな楽しめるの?」
「んー、なんでかなぁ。
子供の頃から遊びみたいなもんだったからかなぁ。」
栞は私があの家に住んでいることを結構前から知っていたみたいで朝のことは全く気にしてないみたい。
やっぱり私は見る目があるのかな。優香も朱里も全然気にしてないし、私の友達はいい性格してる。
「たださ、あと1年でこの学校卒業して、みんなバラバラになるじゃん?
もう少しでバラバラになるけど、今はみんな同じ道を走ってるんだって思えたら、なんか心強くなるじゃん。
みんな一緒だもん。」
「なるほどね~。」
私が言ったことに、栞は何回も頷いていた。
「いいこと言うじゃーん。」
「うわっ!
…春翔、もうすぐ授業始まるのになにしてるの。」
突然後ろから抱きついてきた春翔。
学校ではあんまりこういうことしてこなかったくせに。
「え?ダメなの?」
「ダメなの?って…ダメです。
離れて離れて。」
「うぇー、厳しい。」
と言いつつ、離れる気配は全くないけどさ。