君の瞳に映りたくて。
水飲み場へつき、手を洗ってから私は水に口をつけた。
水飲み場の水だけ冷水だから、走ったあとは本当に気持ちいい。
「…………ぶっ!」
気持ちよく水を飲んでいたら、突然頭を何回も押され、水に顔を突っ込んだ。
「ふっ、ははは
ぶ!だって…くくく…」
「せ、関口…」
顔をあげて後ろを振り返ると、関口がお腹を押さえて笑っている。
「私より遅いやつがなにしてくれてんの!」
もー、タオルないのにびしょびしょじゃん…
「きたねー顔を綺麗にしてやろうと思って。
でもブスはブスのままだな。」
「はぁ!?」
なんなの、こいつ。
本当腹立つ。
本当のことだけどさ。
本当にブスのやつにブスって言うのはだめだろ。
関口はバカにしたように笑ったまま水を飲み始めたから、
私はやつを放って歩き出した。
「お前さ、なんで春翔なの?」
「は?」
だけどやつは、思ったよりかなり早く顔を上げた。
「だから、なんで春翔を好きになったわけ?
見た目?」
「……関口には関係ないでしょ?」
「そのさ、関係ないから話す必要ない的なやつやめろよ。
お前は友達とか彼氏とかそういう肩書きがあるやつとしか話さねーのかよ。
どんだけ狭い中でしか生きていけねーんだよ。」
「は?」
「それを聞いてバカにするようなやつなら言わなくてもいいけど」
「さっきまでバカにしてたじゃん。
人のことお嬢様とか言って。」
「それはお前の態度が悪いからだろ。」
「そっちが私が内緒にしてきたかったことを暴露するからでしょ。
栞たちは、知ってたのに誰にも言わなかった。
あんたはなんでそういう風にできなかったの?
私を好奇の目で見たからでしょ?
そんなやつに、いろいろ話す気になるわけないでしょ。」
私はそういって、歩き出した。