君の瞳に映りたくて。



私がまた歩き出すと、今度は腕を掴まれた。


「こっちが素直に謝って、話してんじゃん。
お前も少しは俺に優しくしろよ。」


「私は別に仲良くなりたいなんて思ってないけど」


「俺は、お前の友達になりたい」


「……は?
なんでそんな急に」


さっきまで私をバカにしてたこいつが、なんで……


「真っ正面みて生きてるのがいいと思ったから。
前だけみて、走って、楽しそうに走ってる姿見ていいと思ったから。

……俺、すげー恥ずかしいのに素直に答えてんだから、お前も少しは素直に答えろよ。」


「……あんた、やっぱバカなんじゃないの?」


「は!?」


「どんだけ素直なの。
どんだけ正直なの。
ばか正直すぎて、笑っちゃう。」


「……うるせーよ。」


「いいよ。
あんたみたいな人、私好きだよ。」


私がちょっと笑っていうと、この男も笑った。


「なに、誰が誰のこと好きなわけ?」


その瞬間、横から声が聞こえてきた。


「は、春翔……や、今のは違くて…」


私がそう弁解しようとしたら、春翔は突然私を抱き締めた。


「おっせーなと思って見に来たけど
隼人、俺の彼女に手出さないでくんない?」


「心配すんなよ、そんなブスに惚れたりしてねーから。」


……またブスって、この男は…


「ただ、俺も気に入っただけ。そいつを。
だから友達申請だしただけ。」


「は?なんだそれ」


「で、今そいつがそれを許可したってだけだから。」


「……舞桜、本当に?」


「当たり前じゃん。
まぁ素直に謝ってきたからいいかなって。」


「ふーん、そっか。
でももう舞桜に触ったりすんなよ。」


「春翔はどんだけ心が狭いんだよ。」


「うるせーよ。
舞桜、行こ。」


「うん!」


「……俺に対する態度と違いすぎじゃね?」


「当たり前だろ。
俺は舞桜の彼氏なんだから。
俺だけ特別じゃなきゃ困るっつーの。」


……なんか、この男がいるとものすごくやりにくい。


「あんたはどっか行ってくんない?」


「は!?お前どんだけひどいんだよ!」


私はそんな声を背に、春翔の腕を掴んでさっきのところへと戻った。



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