君の瞳に映りたくて。



病院をでて、タクシー乗り場へいくと和泉はすでにそこにいて、プカプカと浮いていた。


「あ、帰る?」


香坂がいるから、和泉のその質問には頷くだけ。
もう完全に笑われてるから墓穴掘らないようにしないと。


で、タクシーの座る位置はまた和泉が真ん中。
なんでこの位置にこだわるのか……近すぎなんだけど…
っていうか幽体でも車って乗れるんだね。
車が走ったらすり抜けちゃうとか…なんないの?

まぁなんないから乗ってるんだろうけどさ……


「ねぇ、香坂。
なんで和泉怪我したの?」


「ん?あぁ、春翔の親に聞いたら、学校の近くに河川敷あるだろ?
あそこをチャリで走っててなぜか転んで落ちたんだと。」


「え?でもあそこ私もよく走るけど、あんなに道幅広いのに落ちる?」


「よそ見してたんじゃねーかって。」


「へぇ…」


「で、打ち所が悪くて意識が戻らないらしい。
手術は成功したから、あとは目を覚ますだけなんだけどな…」


……そっか。


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