君の瞳に映りたくて。




「やっぱり、記憶の迷子が原因なのかなぁ…」


「どういうこと?」


「記憶が戻れば、和泉は体に戻れるのかなって。」


……でも、どうやったら記憶って戻るんだろ。
一般的にはリラックスした状態のときに戻りやすいって言うけど……やっぱりきっかけがあった方がいいのかな。


「…とりあえず俺は帰るわ。
ちょい頭の中整理したいし…いろいろ調べてみるわ。」


「あ、うん。わかった。
一応この事は私と香坂しか知らないから。」


「あぁ、わかった。
あ、あと宮下連絡先教えて。
知っといた方がいいこともあるだろ。
いつ春翔が聞いてるかわかんねーしな。」


「俺が聞いちゃようなら話なんかすんなよー。」


なんか和泉が私にしがみついてそういうけど、全く重くない。しがみついてる風だもんね。


「はい、オッケー。
じゃあ私こっちだから。」


「あぁ、なにかあれば連絡して。」


「うん、じゃーねー。」


香坂が曲がり角を曲がったところで、私も家へと入った。


「ねぇ、舞桜。」


「ん?」


「俺らめっちゃ近所だったね。」


「ね。
私がアメリカにいってなかったから、私たちは幼馴染みってやつだったね。」


「俺舞桜なら絶対仲良くなってるもん。」


「ふふ、ありがと。」


私も、きっと和泉のことを好きになったよ。
こんなかっこよくて、優しくて…知れば知るほど好きになってって、この状況が続けば良いのにって最低なことを考えてしまうくらい。



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