君の瞳に映りたくて。



「でもね、幼馴染みじゃなくてよかったよ、私。」


「え、なんで?」


「だって、忘れられちゃうのやだもん。
もし私たちが幼馴染みだったら、今この状況がすごく辛かったと思う。」


「……そっか。そうだよね。」


「私たちは元々仲良くなかったから、私は今和泉をいっぱい知れて嬉しいよ。
だから私たちはただのクラスメイトでよかった。」


特別な関係だったら、きっと私は泣いて泣いて立ち直らなかったと思う。
不幸中の幸いってやつだね。


「俺もね、舞桜のこといっぱい知れて嬉しいし楽しいよ。」


「ほんと?」


「そんなとこで嘘つかねーし。
……でも俺の彼女、どう思ってんのかな。」


「…会いたい?」


「ちょい会ってみたいかも。
なんか思い出せるかなーって。」


「じゃあ連絡してみよっか?
和泉の彼女も陸上部なの。
長距離専門なんだけどね。」


「…いや、いいや。
なんかもし悲しんでたらちょい辛いし。」


「そっかぁ。ま、私も実はそんな仲いいわけじゃないんだ。」


「なんだ。じゃあ無理すんなって。」


「和泉のためだもん。
私にできることならするよ。
だから和泉も遠慮せずにいろいろ言ってよね。」


「…ありがとな。」


「どういたしまして。」


ねぇ、和泉
あと何日こうしていられるかわかんないけど…きっと限られた時間だから、今は私のことだけ考えててよ。

今だけで良いから……


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