君の瞳に映りたくて。




「えぇぇ!!嘘でしょー?抜け駆け~。」


『ごめんって!埋め合わせはまた絶対するし!』


「ちぇー。わかったよ。
30日の映画は絶対!だからね!」


『はいはい、わかってます。
じゃあまたね。』


「はーい。
また話聞かせてね。じゃーね。」


……あーあ。


「電話誰ー?」


「同じクラスで、私の友達の榑林美乃里。
今日あそこの河川敷の花火大会なの。で、一緒にいこうって夏休み前から約束してたんだけど、美乃里に彼氏ができて彼氏といくからってドタキャン~。

花火大会には行けなくなるし、彼氏ができたなんて置いていかれた気分…」


「いいじゃん、俺と行けば。」


……さりげなくキュンとすること言うよね、この人は。


「でも和泉はみんなから見えないから、おしゃべりもできないし、一人できてると思われるじゃん。
それでもし学校の人と会ったら完全寂しい人だもん。

みんな彼氏いるしさ…。」


「そういえば舞桜は彼氏いないんだね。」


「……いいね、彼女いて。」


「ぜんっぜん覚えてない。
会えばまた好きだと思うのかな。記憶になくても。」


「思い出されてのろけとか聞くのやだからね。」


「え、俺ってそういうタイプなの?好きな人できると。」


「そういうタイプだよ。
可愛いとか好きとか人前でも恥ずかしがらずに言ってたし、教室でキスとか普通にしてたもん。」


「うわ、なんかごめん。」


もうラブラブすぎてほんっと入る隙間もなかった。
完全片想いで終わるんだよ。いいんだよ、それで。
和泉が幸せならそれで。



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