君の瞳に映りたくて。



「……じゃあ着てくる。」


「どこできるの?」


「下で。だから和泉は部屋にいてね。
えっとね、これがテレビのリモコンね。録画してあるの見るときはこっちで、こっちがコンポ。」


「部屋なのにテレビが立派。」


「え、そうかな。
じゃあ待っててね。」


「ほーい。」


私は部屋にかけておいた浴衣やメイク道具、ヘアアクセなどを持って下へ降りた。

化粧するのも久しぶりかも。


「杉山さーん!浴衣お願い。」


「はい、わかりました。」


杉山さんは去年も浴衣を着せてくれた。
アメリカに行く前も、私の着付けはいつも杉山さん。

「うちにも女の子がいれば」なんてよくいってるもん。


「やっぱり、この色がよくお似合いですね。」


私の浴衣は昔からオレンジ。
本当はピンクとか赤とかがよかったんだけど、小さい頃から私はオレンジを選んでたらしくて、去年も結局オレンジを買った。

それにホワイトゴールドの帯を締めて。


「やっぱり17歳になったので、うなじが女らしさを際立たせますね。」


「ふふ、こんな私でも綺麗になった?」


「えぇ、もちろん。」


最後は髪の毛を巻いてもらいながら自分でメイクをし、ふわっとアップにしてもらった。
最後に黄色の髪飾りをつけて……


「うん、綺麗です。」


「ありがとう!」


今日の私が完成する。



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