君の瞳に映りたくて。
バーーンっ━・・
「あ、始まった。」
「う、わぁー…
ここスッゴいよく見えるね。」
上がった花火は真正面に、遮るものもなくて、ものすごく綺麗に見えた。
「でしょ?
電線も電柱も他の家もなにも視界に入らないし、会場で見るより見上げなくて済むし、穴場。」
「そうだね。すっごいよく見える。
これであんず飴でもあれば最高なのに~。」
「あんず飴とか選ぶもの可愛すぎでしょ。」
「あんず飴が似合う女の子になりたい。」
「なにそれ。」
「いや、ほんとに。
たまにいるんだよね、あんず飴食べてる可愛い子。
すっごい絵になるんだよー。可愛い子がさらに可愛くなってさ。
あ、きっと優衣ちゃんは似合うんだろうなー。」
「……あー、俺の彼女?」
「そ。
ほんと可愛い子だから。」
「もうその子の話はいいよ。」
「え」
なんか…記憶がないから仕方ないのかもだけど、別人だね。
いつもはあんなベタベタな和泉がもういいよっていったよ。別人だよ、ほんと。
「花火、見ないの?」
「え、あぁ、見る。」