君の瞳に映りたくて。
それから一時間半、俺らはくだらない話を挟みつつ、二人っきりで花火を見た。
「………終わっちゃったね。」
「そうだな。帰るか。」
「…もう少し、ここにいたい。」
「え?うん、いいけど…怖くない?」
「平気。
和泉いるもん。」
ほら、たまに出る可愛い言葉。
こういうのが狙ってないのがわかるから腹立つ。
狙ってたら狙ってたで腹立つんだけど。本気で。
でも舞桜はどんどん可愛く見えてきて仕方ない。
それが腹立つ。
「ここ、桜満開になるんだよね、春には。」
「そうだな。
桜がいっぱい舞うよ。
………なんか、それじゃ舞桜の名前みたいだな。
桜が舞うで舞桜。」
「和泉も春の名前だよね。
春を翔るで春翔。」
「あ、そうだな。
じゃあ俺らは春生まれだな。」
「ふふ、そうだね。」
舞桜の誕生日か、いつなんだろ。
………俺の誕生日もいつなんだろう。
お互いの誕生日なんて知らないのに、勝手に春生まれと決めつけたのは俺なのに、舞桜は否定しない。
だから、舞桜はきっと春生まれなんだろうな。
誕生日か。いつなんだろ。
「………誕生日いつ?」
「え?私?2月15日。」
「どこらへんが桜舞う季節なんだ。」
「あはは、ほんとだよね。
そこらへんはお母さんに聞いてみないとわかんないや。」
もし聞いたらぜひ俺にも教えていただきたい。