君の瞳に映りたくて。



バシッー


………ん…いたい……

あれ………夢…?


「宮下~…!」


………この声は…


「せ、先生…」


いつの間に…


「お前が誰よりも早く来て、誰よりも部活を頑張ってて、誰よりも遅くまで走ってることは俺もよく知ってる。

でも学校は寝るところじゃないよな?」


そうやってさわやか笑顔でいうのは女子にも人気のある、陸部顧問でこのクラスの担任の金城(かねしろ)先生。

さわやか笑顔で厳しいことをいう鬼教員。


「………あはは、今日は早く来すぎちゃって。」


「知るか!ちゃんと起きてろ。」


「はーい…」


って、めっちゃ注目されてるし!
………のわりに、和泉は全く私に興味なし。友達と普通に話してる。


入学式のあと、私はすぐに名前を調べた。そしたらその男が和泉春翔って名前だってわかったんだ。

和泉とはあれ以来話してない。きっと、和泉の記憶には残ってないんだと思う。
同じクラスになって、覚えてたなら普通話しかけてくると思ったから。


だけど、和泉は話しかけてこない。挨拶すらない。
………まぁ、私も話しかけたりしないんだけどさ。


あの日、弱いチームを強くしたいと言った和泉の顔は忘れることが出来ない。
あの時の和泉の顔は、どんな和泉よりもかっこよかったから。


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