君の瞳に映りたくて。



挨拶をした私を、おばさんは舐めるように上から下まで見た。


「あ、あの……?」


「祥也、お付き合いするときは相手の家柄を見なさいといつも言っているでしょう?」


い、家柄………


「関係ねーだろ。
だいたい、付き合ってもねーし。」


おう、仲がよろしくないのか………


「宮下、行くぞ。」


「あ、うん。
失礼します。」


………厳しそうな家だなぁ…
うちとは全然違って、ちょっと怖い…


「ここ。ちょい中入って待ってて。
適当に座って。」


「あ、うん。
お邪魔します…」


………部屋も広い。殺風景。


「和泉も座んなよ。」


「あぁ、おう。
………舞桜ってさ、金持ちって隠してんの?」


「………アメリカにいた頃ね、あんまいい思いしなかったの。
お金たかられたり、逆玉の輿狙われなり、お金目当てばっかりだったの。
だから家も誰にも教えてない。
それでも日本のあの家は昔から住んでる家だからそこまで大きくもないけど、アメリカの家はほんと広くて隠す方が大変なくらい。
もっと普通でいいんだけどね、私は。」


「じゃあ俺だけ?知ってるの。」


「うん、そうだよ。」


「へぇー。そっかそっか。」


………今度はなんでそんな笑ってるの?
よくわかんないなぁ…


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