君の瞳に映りたくて。



「………終わったぁぁぁ!!」


明日は美乃里と映画の約束。

「それまでに読書感想文を終わらせなさい!!」と怒られたから、昨日の夜から借りた本を真剣に読んで、なんとか感想文も書き上げた。


………ネットで書き方とか調べたけど。


「やっと終わった?」


「もうこれで先生になにも言わせない!!」


やったね。
これで夏休み、無事明けることができるよ。


「はぁ、お腹すいた。
リビング行こ。」


「あれ、今日杉山さんって人来てた?」


「来てないよ。今日は休み。
まぁでも何かしらあると思うし。」


レトルトカレーとかカップラーメンとか。
………こういうとき自分で作れたら魅力度上がるんだろうけど、私はなにも作れないから。


………今度ちゃんと杉山さんに習おう。このままじゃだめだ。
一生結婚できないよ、これ。


「あのさ、昨日あいつんちいったときに、家柄がどうとか言ってたじゃん?
舞桜んちもそういうのあんの?金持ちじゃなきゃダメ、みたいな。」


「うち?全然。
香坂んちより遥かにラフな親だよ。陽気で。
ほんっとうざいくらいにね。」


もう思い出すだけで笑えてくるよ。


「この前もね、夏休みに弟の墓参りしに帰ってきたんだけど、まだ彼氏できてないのか!!って言われたもん。
ただね、やっぱ会社は継いでほしいみたいで、結婚は絶対させるみたいよ?たとえ彼氏ができなくてもね。
弟いなくなっちゃったし、私に駆けてるみたい。」


「へぇ…大変だな。」


「そういうのあると、彼氏とか作りにくいけどね。
お見合いなら別だけど、恋愛結婚だといっぱい背負わせちゃうから。」


そういうのもあって、和泉にはずっと告白できずにいた。
もし私を好きになってくれたとしても、あのアメリカンでビジネスマンの親に合わせなきゃならないから。


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