この夏の贈りもの

夏休み

「返して！　返してよ！」


中学校時代のあたしが男子に向かって手を伸ばす。


４人の男子たちは真っ白な仮面をかぶっていて、顔が見えない。


その手にはあたしの体操着が握られていた。


「巨乳武田チホの体操着！　１００円からオークションに出そうぜ！」


「それなら写真付きの方が金額跳ね上がるんじゃねぇ？　写真撮ろうぜ、生写真！」


「ビキニ！　ビキニ！」


体中が燃えるように熱くなって、恥ずかしさで死にたくなる。


助けを求めて教室内を見回すが、そこにいるのは男子たちと同じように白い仮面をかぶった無表情なクラスメートたちだった。


憐れむような顔をしていたり、見て見ぬふりをしているのはまだいい。


中には巨乳を使って男子生徒をたぶらかしていると、冷ややかな視線を送っている女子生徒たちもいる。


だれも、あたしの事を見てくれてなんていない。


「誰か……」


か細い声で助けを求めても、その言葉は誰の耳にも届かなかった。


「下着姿の写真の方が絶対に売れるよな！」


「こいつ乳ばっかりで顔はイマイチだもんなぁ」


「それなら脱がせちまえ！」


男子たちの手があたしの制服を掴む。


涙が浮かんできて視界が脱がんだ。


白い仮面の男子たちの顔も、奇妙に歪んで見えた。


それでも誰も助けに来ない。


いや……いや……「いや！！！！」