この夏の贈りもの
『人間なんだから』


そんな大きなくくりで1つにされるなんて思ってもいなかった。


「楽しもうぜ、チホ」


翔がニカッと笑う。


あたしは1人オロオロしてみんなの顔を見つめるばかり。


「……楽しもう?」


そう言ったのは和だった。


和はまゆを下げて申し訳なさそうな表情を浮かべている。


その表情になぜだか胸がざわついた。


「よし、食ったな? 行くぞ!」


裕が突然走り出す。


「え、あ、ちょっと待って!」


あたしは慌てて立ち上がり裕の後を追いかけた。


「あ、ずるいぞ2人とも!」


後ろから翔の言葉が飛んできても、あたしは止まらなかった。


前へ前へ足を運ぶ。


風を感じて草木のざわめきを聞き、鳥の鳴き声に背中を押されていた。


前へ前へ前へ。


気が付けば、あたしは満面の笑顔を浮かべていた。


男とか女とか、霊媒師とか幽霊とか。


そんな垣根を越えて走っていたんだ。
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