この夏の贈りもの
切れかけた蛍光灯
翔が消えると、夜桜も消えて行った。


残ったのは静けさと、花火の煙の匂いだけ。


「行っちゃったな」


唯人が空を見上げてそう呟いた。


「寂しい?」


そう聞くと、唯人は肩をすくめて「別に」と、言った。


嘘ばっかり。


そう思ったけれど、唯人が無理をして笑っているのはあたしのためだと気が付いて、黙っておいた。
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