この夏の贈りもの
唯人の言葉にあたしは更に焦り、わざと大きな音を立てて椅子に座った。


「耳まで真っ赤だぞ?」


「うるさい!!」


顔だけじゃない、胸の奥から熱を帯びていくのが自分でよくわかった。


ポケットからスマホを取り出して時間を確認すると、朝の6時を過ぎたところだった。


まだまだ1日は始まったばかりだ。


「さて、あたしは朝ご飯を買いに行ってくるからね」


「それなら俺が行く」


そう言って立ち上がったのは和だった。


あたしたちの会話で起こしてしまったようで、まだ眠そうな顔をしている。


「あたし1人で行くからいい」


あたしは和にそう言い、教室を出た。


自転車でコンビニまで行けばすぐだ。


「俺が行くって言ってるだろ」


後ろから強い口調でそう言われて、あたしは立ち止まって振り向いた。


寝起きで不機嫌そうな和が立っている。
< 132 / 218 >

この作品をシェア

pagetop