この夏の贈りもの
開かずの教室
裕が返事をしてくれなくなったことで、あたしたちにできることは再びあの教室へ行く事だけになっていた。
「俺は裕と一緒にいる」
唯人は自分からそう言ってくれたけれど、どこか不機嫌そうな表情を浮かべている。
さっきから、あたしと和が一緒にいることが嫌な様子を隠そうともしない。
なによ、自分なんてあたしの名前を呼び間違えたくせに。
心の中でそう愚痴り、和と一緒に教室を出た。
広い階段を早足に下りて廊下を進んでいく。
プレートのない教室の前までやってきて、足を止めた。
その扉に手を伸ばすと、体感温度が下がって行くのを感じた。
この寒さ、普通じゃない。
直感的にそう感じた。
扉の前に水晶をかざしてみると、その中に真っ黒なモヤが浮かんで見えた。
これは……。
「この扉の向こうに悪い霊がいる」
「本当かよ」
「うん。きっとどこかにお札が張られていて、悪霊がここから出て行かないようにしているんだと思う。だから今までこの冷気に気が付けなかったんだ」
あたしはそう言い、下唇を噛んだ。
何日間もこの学校に寝泊まりしていて、悪霊の存在に気が付けなかった自分が情けない。
「俺は裕と一緒にいる」
唯人は自分からそう言ってくれたけれど、どこか不機嫌そうな表情を浮かべている。
さっきから、あたしと和が一緒にいることが嫌な様子を隠そうともしない。
なによ、自分なんてあたしの名前を呼び間違えたくせに。
心の中でそう愚痴り、和と一緒に教室を出た。
広い階段を早足に下りて廊下を進んでいく。
プレートのない教室の前までやってきて、足を止めた。
その扉に手を伸ばすと、体感温度が下がって行くのを感じた。
この寒さ、普通じゃない。
直感的にそう感じた。
扉の前に水晶をかざしてみると、その中に真っ黒なモヤが浮かんで見えた。
これは……。
「この扉の向こうに悪い霊がいる」
「本当かよ」
「うん。きっとどこかにお札が張られていて、悪霊がここから出て行かないようにしているんだと思う。だから今までこの冷気に気が付けなかったんだ」
あたしはそう言い、下唇を噛んだ。
何日間もこの学校に寝泊まりしていて、悪霊の存在に気が付けなかった自分が情けない。