この夏の贈りもの
あたしは恥ずかしさからたどたどしく説明をする。


そもそも彼に普通の霊と悪霊の見分け方がわかるかどうかがわからない。


「なるほど、それならきっと大丈夫ですよ」


彼は笑顔を絶やさないままそう言った。


「奴らはとても健康的で、元気な霊だと思いますから」


健康的で元気な霊?


もう死んでいるのに健康もなにもないと思うのだけれど、彼は自信満々にそう言いきったのだ。


あたしは半信半疑のまま住田唯人を見つめた。


瞬きをするたびに長いまつ毛が揺れて風が起こりそう。


透明感のある肌は夏の日差しなんてものともしないのだろうし、うるおいのあるピンク色の唇は思わず触れてみたくなってしまう。


ここまでの美青年を見たのは産れて初めての経験かもしれない。


「わ、わかりました。一旦帰って父と祖父と相談をしてから連絡をします」


あたしはそう言い、そそくさと席を立った。


イケメンと対面していると言うだけで息が詰まりそうになって来た。


「わかりました。ではまた明日お宅に伺います」


そう言う住田唯人の言葉に返事をせず、あたしはファミレスを後にしたのだった。
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