この夏の贈りもの
連絡
早足で家まで帰って来たあたしはぐっしょりと汗にぬれていた。


リビングに入ってすぐにエアコンをかけ、冷凍庫からアイスを取り出す。


たった数分間歩いただけでこんなに暑いとは思わなかった。


最近の夏の気温はどうかしているとしか思えない。


このまま気温が上昇し続ければ人類は蒸し焼きになってしまうだろう。


そんな事を考えながらソファにドカッと座り、アイスを口に含む。


冷たくて甘いミルクの味が口いっぱいに広がって幸せな気持ちが体を包み……込むより先に、あたしはガックリと肩を落としていた。


住田唯人の依頼をどうして断らなかったのだろうと、今更ながら後悔していた。


彼があまりにもカッコよくて、あたしの事を好きだなんて言い出すから妙な情がわいてしまったのかもしれない。


おかげで妙な赤っ恥をかくはめになってしまって、散々だ。


あたしはアイスをガリガリとかみ砕き、飲み込んだ。


住田唯人の依頼は断るべきだ。


だいたい竹丘男子高校ってどこよ？


全然聞いたことがない高校名だ。


それに、あたしは男子が大嫌いだ。


夏休み中といえど男子校に行けば男子生徒がいるに決まっている。
< 16 / 218 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop