この夏の贈りもの
朝日を感じて目絵を覚ましたとき、あたしは最低な気分だった。


夢のことなんて起きたらすぐに忘れてしまえばいいのに、脳裏にこびり付いて離れない。


「もうすぐこの学校ともお別れだな」


和が教室の中を見回してそう呟いた。


「そうだね」


菓子パンを口に運びながらあたしはそう答えた。


唯人は1人で窓際に立ち、昨日と同じようにグラウンドを見つめていた。


グラウンドには誰の姿もないのに、窓ガラスに写って見える唯人の顔はとても嬉しそうにほほ笑んでいた。


「だけど、仕事が全部追わればケーキだからな」


あたしを励ますように和がそう言った。


和が昨日買ってきてくれたケーキは、宿直室の冷蔵庫の中にある。


「うん……」


全部、終われば。


あたしは食べかけの菓子パンに視線を落とした。


今日で全部終わり……だ。
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