この夏の贈りもの
そう、和は中学時代にあたしをイジメていたリーダーだったのだ。


その和が竹丘男子高校にいたのを見た瞬間、あたしは混乱した。


見た感じ和は幽霊になっているわけでもないし、どうしてここにいるのかと。


しかも幽霊たちと普通に会話していて、霊感があったということにも驚いた。


あたしは和のことを何も知らなかったのだ。


だけど和があたしのために買い物へ行ってくれたりしているのを見ている内に、徐々に和は霊媒師としての手伝いをしてくれているのだと言う事がわかりはじめていた。


でも、どうして和があたしの仕事の手伝いをしているのか?


それだけが、ずっと疑問だったのだ。


「俺は、決してチホを嫌いになったわけじゃないんだ」


石段を下り切った瞬間にそう言われ、あたしは和を見た。


和は耳まで真っ赤になっていて、暗闇でもそれがわかるくらいだった。


「嘘ばっかり」


あたしはそう言い、和の手を離そうとした。


しかし、痛いほどに握りしめられた手は離す事ができなかった。


「嘘じゃない」


「じゃぁどうしてあたしを……」


そこまで言い、言葉に詰まった。


イジメたの?


そう聞くのがなんだか怖くなってしまった。
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