この夏の贈りもの
中学に入学してからは、同級生に会う事が嫌で行かなくなってしまったけれど。


「一緒に、行かないか?」


ぎこちなく誘ってくる和。


「そうだね。久しぶりに行って見てもいいかもね」


「だ、だろ!?」


「でもその前に……」


あたしは自分の髪に触れた。


「随分長くなっちゃったから、美容院に行こうかな」


「え……?」


和が驚いたように目を見開いた。


「なに? ロングの方が好き?」


「い、いやっ……」


「夏だもんね。さすがに暑いし」


「そ、そうだよな」


和は嬉しさを隠しきれないようで、あたしの手を握りしめた。


あたしは和の手を握り返した。


窓の外を見ると、雨も降っていないのに虹がかかって見えた。


その上にみんなの笑顔が浮かんでいる。


「みんながあたしの背中を押してくれた」


あたしは虹へ向けて手をふった。


「あ、虹か」


和が虹に気が付き、窓の外を眺める。


未来のためにあたしに戻ろう。
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