この夏の贈りもの
魅力
真夏にキャリーケースを引きながら駅まで歩くのは想像以上にしんどかった。
家から駅までは徒歩で5分程度なのに、その5分で肌からチリチリと煙が出てきそうな熱さに襲われた。
ようやく駅に到着して目的の電車に乗ると、ホッと息を吐き出した。
暑いというだけで普段の何倍もの体力を消耗するハメになる。
幸い、今から向かう場所は随分と田舎らしく、ここよりは涼しいということだった。
電車の椅子にグッタリと座り込んでいると、唯人がクスクスと笑い声を立てた。
ここに来るまでの間に、結局あたしが根負けして『チホ』『唯人』と呼び合う事を承認してしまったのだ。
アスファルトの灼熱地獄の中「ねぇ、俺たち友達だよな? チホって呼んでいいよな?」と、散々聞かれたらもう返事をすることも嫌になり「はいはい、好きにして!!」と、怒鳴り返してしまったのが原因だった。
「なによ」
あたしは涼しい顔で立っている唯人を睨んでそう聞いた。
「チホは表情がコロコロ変わって面白いなぁと思って」
「はぁ?」
それは唯人の方だ。
家から駅までは徒歩で5分程度なのに、その5分で肌からチリチリと煙が出てきそうな熱さに襲われた。
ようやく駅に到着して目的の電車に乗ると、ホッと息を吐き出した。
暑いというだけで普段の何倍もの体力を消耗するハメになる。
幸い、今から向かう場所は随分と田舎らしく、ここよりは涼しいということだった。
電車の椅子にグッタリと座り込んでいると、唯人がクスクスと笑い声を立てた。
ここに来るまでの間に、結局あたしが根負けして『チホ』『唯人』と呼び合う事を承認してしまったのだ。
アスファルトの灼熱地獄の中「ねぇ、俺たち友達だよな? チホって呼んでいいよな?」と、散々聞かれたらもう返事をすることも嫌になり「はいはい、好きにして!!」と、怒鳴り返してしまったのが原因だった。
「なによ」
あたしは涼しい顔で立っている唯人を睨んでそう聞いた。
「チホは表情がコロコロ変わって面白いなぁと思って」
「はぁ?」
それは唯人の方だ。