この夏の贈りもの
そう言うと、窓に首を傾げている唯人の姿が映って見えた。


「きっと、唯人にはわからないよ。背が高くてカッコよくて、そんな唯人にはわからない」


「チホは、自分の見た目が嫌いなのか?」


そう聞かれてあたしは唯人へと視線をうつした。


「大嫌いだよ」


それは何度も何度も思って来たことだった。


この胸じゃなければイジメられることもなかった。


こんな胸だからあたしはダメなんだ。


制服を着ていても私服を着ていてもどうしても目立ってしまう。


特に体操服なんて最低だった。


薄い生地では胸を隠す事なんてできない。


運動をするたびに胸が揺れ、その度に女子生徒たちから冷ややかな視線を感じていた。


あたしが運動音痴だからトラックを一周走らされていた時も、本当は先生が大きな胸が揺れるところを見たかったから走らされたのだと、後から知った。


最低だった。


今すぐにでも死にたい。
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