この夏の贈りもの
ヒヤリとした足に夏の太陽が照りつける。


これならすぐに乾きそうだ。


あたしは靴下と靴を片手に持ち、素足のまま歩き出した。


「チホ、足の裏が汚くなるぞ」


唯人が言う。


だけどあたしは気にしなかった。


「大丈夫大丈夫」


そう言いながらアスファルトの熱にアチチと小躍りしてしまった。


思っていた通り、少し歩いただけであたしの足は綺麗に乾いていた。


それから靴下と靴を履き、また歩き出す。


歩きながらあたしは鼻歌を歌い始めていた。


初めての場所。


いつもと違う日常。


綺麗な川に大きな森に囲まれた町。


うん、わるくない。


これから除霊をしに行くと言うのに、あたしの心は躍っていたのだった。
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