この夏の贈りもの
本当は不安で背中に汗が流れていたが、あたしはどうにか悟られまいとドアに視線を向けた。


「よし、じゃぁ、開けるぞ?」


「うん!」


唯人が勢いよく教室のドアを開けた……その瞬間、賑やかな話し声が聞えてきて、あたしは瞬きを繰り返した。


教室内にいたのは5人の男子生徒たち。


机を教室の後ろに移動させて、中央で何かをしている。


「はっけよーい、のこった!!」


1人の掛け声と共に中央にいた2人が取っ組み合いを始めた。


「また相撲してんのか、好きだなお前ら」


唯人がそう声をかけると、残りの3人がこちらへ視線を向けて来た。


「唯人! 帰って来たのか!」


その声を聞いて相撲を始めたばかりの2人も動きを止めた。


「なになに? その子が俺らを除霊してくれるの?」


一番性の低い男子生徒が目を輝かせてあたしに近づいて来た。


大きな目を更に見開き、好奇心をむき出しにしてくる男子生徒にあたしはたじろいて後ずさりをした。
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