この夏の贈りもの
悪夢
宿直室は1階の隅にあった。
4畳半の和室で布団とラジオが置かれている。
あたしは布団をひいてその上に横になっていた。
冷暖房はないけれど、窓を開けると森の涼しい風が入ってきて心地いい。
スマホを確認してみたけれど電波は届かず、時間だけ見てすぐに投げ出した。
電気に近づいてくる小さな蛾をぼんやりと見上げて、5人の顔を思い出す。
明日から彼らの除霊が始まる。
そう思ってもなんだか実感がわいてこなかった。
彼らがすでに死んでいるという実感すら、わいてこない。
彼らから緊張感が伝わってこず、あまりにものんびりしているせいかもしれない。
あたしは窓を少しだけあけたまま電気を消した。
周囲が静寂に包まれる。
自分の部屋なら夜になっても外から人の声が聞こえてきたり、車の音が聞こえてきたりしている。
けれど、ここではそんな音も全く聞こえて来なかった。
時折虫の鳴き声が聞こえて来る程度で、耳鳴りが聞こえてきそうなほどの静けさだ。
寝返りを打つ布ずれの音がうるさく感じられる。
あたしはそっと目を閉じた。
足を撫でていく水の感覚をリアルに思い出させた。
あんな風に川に入った事は初めてだったのに、心の中に懐かしさが広がって行く。
気が付けば、あたしは目を閉じたままほほ笑んでいた。
すごく、穏やかな気分だった……。
4畳半の和室で布団とラジオが置かれている。
あたしは布団をひいてその上に横になっていた。
冷暖房はないけれど、窓を開けると森の涼しい風が入ってきて心地いい。
スマホを確認してみたけれど電波は届かず、時間だけ見てすぐに投げ出した。
電気に近づいてくる小さな蛾をぼんやりと見上げて、5人の顔を思い出す。
明日から彼らの除霊が始まる。
そう思ってもなんだか実感がわいてこなかった。
彼らがすでに死んでいるという実感すら、わいてこない。
彼らから緊張感が伝わってこず、あまりにものんびりしているせいかもしれない。
あたしは窓を少しだけあけたまま電気を消した。
周囲が静寂に包まれる。
自分の部屋なら夜になっても外から人の声が聞こえてきたり、車の音が聞こえてきたりしている。
けれど、ここではそんな音も全く聞こえて来なかった。
時折虫の鳴き声が聞こえて来る程度で、耳鳴りが聞こえてきそうなほどの静けさだ。
寝返りを打つ布ずれの音がうるさく感じられる。
あたしはそっと目を閉じた。
足を撫でていく水の感覚をリアルに思い出させた。
あんな風に川に入った事は初めてだったのに、心の中に懐かしさが広がって行く。
気が付けば、あたしは目を閉じたままほほ笑んでいた。
すごく、穏やかな気分だった……。