この夏の贈りもの

告白

自慢じゃないけれど、あたしは今まで１８年間生きてきて告白をした経験が一度もない。


というか、するわけがない。


好きな人がいないんだから。


だから今大空がどれくらい緊張しているのか、あたしには知る事ができなかった。


みんなでぞろぞろと丘を下り、大空を先頭にして歩いている。


相手の家まで徒歩で２０分ほどかかるらしい。


距離があるなら自転車で行こう。


あたしはそう提案したのだけれど、大空がそれをやんわりと断って来た。


行くまでの道中に告白する勇気を持ちたいから。


ということが理由だった。


それならあたしがどうこう言える立場ではない。


自分から成仏する準備をするというのは、とてもいいことだ。


ゆっくりと散歩する気分で町を歩く。


自分が住んでいる街ならとっくに汗が噴き出している頃だけれど、心地よい風のおかげでそれも回避できていた。