この夏の贈りもの
☆☆☆

この日はちゃんと横向きで眠りについたため、悪夢にうなされることはなく目が覚めた。


窓の外から心地いい風が入り込んできている。


少しだけ汗ばんでいる体をさっぱりさせるため、タオルを持って宿直室を出た。


宿直室の隣にはシャワールームがある。


冷たい水を頭からかぶると目が覚める。


軽く体を洗ってシャワーから出ると、外が騒がしい事に気が付いた。


校舎の廊下の窓からグラウンドへ視線を向けると、みんなが相撲を取っているのが見えた。


「また相撲?」


あたしは呆れてそう呟いた。


今日成仏する予定の有馬は土俵で翔とにらみ合っている所だった。


なんだか呑気だなぁ。


そう思いながらも、じゃれ合っている5人に思わず微笑んでしまう。


その輪の中に大空がいないのが不思議な感じがした。


「あ、チホ!」


唯人が一番にあたしに気が付いて手を振って来た。


あたしも手を振りかえす。


「朝飯、教室に置いてあるから適当に食えよ!」


そう言われてあたしは「わかった!」と、返事をしたのだった。
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