この夏の贈りもの
有馬と学校の先生がどうしても結びつかない。


「えっと……それは、体育教師?」


ようやく出てきた質問がそれだった。


有馬を見れば誰だってそう思うだろう。


「違う。国語の教師だ」


迷う事なくそう言いきった有馬にあたしはまた目を見開いた。


「なんだよ、さっきから変な反応しやがって」


「い、いや別になんでもないけど……」


有馬と国語教師というワードがどうしても結びつかない。


「とにかく、俺は夢に向かって頑張ってたんだ。サボらずに毎日勉強して、両親も説得して夢に向かってまい進していた」


有馬は腕組みをし、生前の自分を思い出してうんうんと何度も頷いた。


「そうだったんだ。志半ばで死んじゃったんだね」


「そういう事だ。その夢が叶えばきっと俺は成仏できる」


なるほど。


これも成仏できない幽霊によくあることだった。
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