この夏の贈りもの
「安心しろ、チホに告白する気はない」


笑いながらそう言われて、カッと顔が熱くなるのを感じた。


いくらカッコよくても、あたしだって幽霊なんてお断りだ。


「生きていた頃、好きな子に告白したんだ」


「そうなんだ!?」


あたしは目を輝かせて翔を見た。


こういう少女漫画のようんなシチュエーションは嫌いじゃない。


「あぁ」


「どうだったの?」


「OKを貰った」


翔はその頃の事を思い出したように、はにかんだ笑顔を浮かべた。


「すごいね! 言い伝えは本当だったんだ?」


「半分はな」


「半分?」


「一週間後に振られた」


その言葉にあたしは目を見開いた。


いくらなんでも一週間とは早すぎる。


桜の木の下で告白という雰囲気に流されてOKしたんだろうか?
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