この夏の贈りもの
振られた理由を聞くのは野暮かと思い、あたしは桜の木を見上げた。
葉の間から月明かりが差し込んでいる。
大空はこの校庭で星空を見たって言ってたっけ。
たしかに、ここならなににも邪魔されずに星を見る事ができそうだ。
「お嬢様だったんだ」
不意にそう言われて、あたしは翔を見た。
翔はあたしと同じように葉の隙間から月明かりをみていたようだ。
「家で猛反対されたんだと」
「……そうだったんだ」
恋愛経験の乏しいあたしは返す言葉が見つからず、また月明かりを見上げた。
風が吹いて、葉が音を立てながら揺れる。
月明かりがまるでホタルの光のように糸を引いてみえた。
「結婚して幸せになってるそうだ」
「誰かから聞いたの?」
「風の噂だ」
幽霊にも風の噂が届いてくるようじゃ、言いたいことも言えないね。
葉の間から月明かりが差し込んでいる。
大空はこの校庭で星空を見たって言ってたっけ。
たしかに、ここならなににも邪魔されずに星を見る事ができそうだ。
「お嬢様だったんだ」
不意にそう言われて、あたしは翔を見た。
翔はあたしと同じように葉の隙間から月明かりをみていたようだ。
「家で猛反対されたんだと」
「……そうだったんだ」
恋愛経験の乏しいあたしは返す言葉が見つからず、また月明かりを見上げた。
風が吹いて、葉が音を立てながら揺れる。
月明かりがまるでホタルの光のように糸を引いてみえた。
「結婚して幸せになってるそうだ」
「誰かから聞いたの?」
「風の噂だ」
幽霊にも風の噂が届いてくるようじゃ、言いたいことも言えないね。