花一刻、〜新撰組〜
春
花の舞う宴会
夕刻になり、夕日が西の空ににじみ出した頃、
京都・島原は、花が咲く。
今日も、女は花を売るのだ。
ここには、ホンモノが無い。
私たち遊女は、好きでも無い男に「好き」と
言い、一夜を過ごす。
毎晩、何年それの繰り返し。
別にあたしは、ホンモノの何かを探してるわけじゃ無いの。
これは、島原の大門の外にいても同じ。
どこにいてもホンモノなんてない。
でも、何年経っても消えない淡い期待。
いつか、燃えるような本物の恋がしたいー…。
本心から「好き」といって本心から「好き」と
言われたいの。
そんなこと、ここでは許されない。
でも、そんなことを願いながら、
私は今日も真っ赤な紅を引いた。
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