花一刻、〜新撰組〜
「じゃあ、次、また会うかもだな。
島原は、女の影に敵も味方も隠れるからな。
都合の良い場所だ。」
がははは。と笑う近藤さん。
その横で、
「口が滑りすぎだ。関係の無い奴にどこまでも
話して良いと思うな。」
土方さんは冷たく言い放った。
あたしは話しの流れがよく分からなかった。
ただ、新撰組の人たちは島原を利用して、
なにか企んでいるみたいだった。
「失敬失敬。
ほら、じゃあ行くぞ。
残りの隊員は残してあるんだ。ま、新撰組の
風紀を乱さない位に遊んでもらうか!」
近藤さんは、着物の裾で顔を拭うと、一人でに
階段を降りて行ってしまった。
土方さんも黙って降りていく。
「重音さん、ではまた。月見ましょう!」
沖田さんも、二人の後を急いで追いかけて行った。
「ありがとうござりんした。」
まだ行って欲しく無い。初めて心からそう思った。3人が有名だから、とかただ格好良いからとかではなくて…。この気持ちは…。
そんな願いも届かず…。
月光に満ち満ちた座敷には、微かな熱だけが、
ゆっくりと月光に冷やされる様に残っていた。