花一刻、〜新撰組〜
「重音姐さん、今日は高台さんの茶屋で
宴会だって」
ふすまが開き、私が世話をしている新造の
茜音(あかね)が入ってきた。
新造というのは、花魁見習いのこと。
姐さんとは、新造や禿(かむろ)が、仲良くしている、花魁を呼ぶときに使う。
「宴会ー?聞いてないよー?」
高台さんの茶屋は、かなりのお金持ちしか、
入れないような茶屋で、50歳くらいの腰が曲がったおじいちゃんが切り盛りしてる。
骨董品やらどこかから仕入れた宝を見せびらかすように陳列されているのだ。
「でもさ、今日はかなりのお金持ちみたいよ。
だから、三島屋総動員で行くんだって。
廊下の穴ぼこが治っちゃうかもね。」
そう言って茜音はけらけら笑った。
私が働いてるのは、三島屋という楼。
だんだん老朽化してきて、廊下は穴ぼこだらけだが、一応高級見世だ。