ないしょばなし。
窓を開けたわけでもないのに、
部屋の気温が一気に下がった気がした。
外は大分薄暗くなっている。
「―なに、俺がいないと寂しい?」
「はぁ?んなわけないじゃん。
面倒見る相手がいなくなって
清々するっつーの!」
「うっわかわいくね〜!
お前高校入ったらもっと女らしくしないと
彼氏も出来ねえぞ?!」
本当に。
あたしは全然かわいくない。
本当はすっごく寂しい。
大阪になんて行って欲しくない。
章太朗の、そばにいたい。
だけど10年以上家族みたいに接してきた章太朗に、
今更どんな顔して伝えればいいんだろう。
「大きなお世話ですーっ!」
憎まれ口しか叩けないあたしを残して、
章太朗は、大阪に行ってしまった。