ないしょばなし。
「何がよ。そんな目して何言っても無駄だよ?」
モジモジするあたしに、千恵子はピシャリと言う。
「このまま西口くんが他の女のものになってもいいの?」
……それは…
「いいならいいよ。
高校で新しい恋見つけなよ」
「……ヤダ…」
認めるのもなんとなくしゃくだけど
やっぱりあたし、章太朗のことが…
「ほらね。だったらあたし、とことん協力するよ」
4人きょうだいの一番上の千恵子は、
お姉さんらしさたっぷりの光で目を輝かせた。
「西口くん冬休みには帰ってくるんでしょ?」
「そうらしいよ。おばさんも楽しみにしてる」
強豪校なだけあって、夏休みは1日も休みがなかったらしい。
だけど大晦日から1月の2日まではさすがの部活も休みで、
章太朗は地元に帰ってくる予定だ。
「じゃあ、その時が勝負じゃん。
準備期間は3ヵ月ちょっとか」
「勝負…?…準備…?」
「そーだよ。カオリから西口くんを奪い返すの。
それにはカオリに負けないくらいいい女にならないと」